遺品整理を安くするコツ

この「遺品整理作業」や「ゴミ屋敷清掃作業」の代金においては、 決まった料金体系などはなく各社の作業方法や使用する処分場の料金に左右されます。それが、この業界の欠点であり、世間的に信頼を得られない問題だと言えます。

一昔前(7、8年前)までは、この商売は儲けの良い稼業でした。というのも、ゴミが売れたからです。
東南アジアの発展途上国向けに、不用品として引き取ってきた小型家電(扇風機・ストーブ・オーディオなど)や要らなくなった衣類・家具が売れた時代がありました。壊れていても構わないし、日本製の家電だと高く買い取ってもらえました。ところが、近年中国をはじめ、韓国・フィリピン・タイなどが、「基本的にこれらはゴミである」として受け入れをしなくなりました。そのため、日本国内において「すべてゴミ」として処分しなくてはならなくなりました。
そして、今日本国内では、ゴミの処分能力がひっ迫しており、ゴミの処分場においても処分代金が年々値上がりしています。

そのため、この業界の料金が高くなっているのも事実です。

そこで、「遺品整理」に限らず「生前整理」や「ゴミ屋敷清掃」で業者に依頼する際に、できるだけ料金を安くするコツをお伝えします。
参考にしてみてください。


1⃣お客様の側でできることは、ゴミの量をできるだけ減らすこと

一般的に、料金は
遺品整理の原価=作業料金(分別や搬出の作業料金・人件費)+ 処分料金(処分業での廃棄代金)-買取料金となり、
これに社員の福利厚生費やトラック・倉庫などの固定費の回収分と利益分を加えて算出されています。

お客様の側でできることは、このうちの「処分料金」を抑えることです。つまり、搬出・撤去するゴミの量を極力減らすことです。

①家庭ごみとして捨てる
食材や衣類・紙・書籍などは、できるだけ家庭ごみとして捨てましょう。この業界でも紙・書籍や衣類は、今までは資源ゴミとして無料で捨てることができました。しかし、処分場の処理能力のひっ迫にあわせ、昨今のコロナウィルスの影響により輸出もできなくなっており、受け入れを拒否しているゴミ処分場が増えてきています。家庭ごみとして捨てられる物は、極力お客様ご自身で処分することをお勧めします。処分するゴミの量が減れば、廃棄代金が減り、それに伴い人件費や車両の台数も減るので代金が安くなります。
大きな家財は粗大ごみとして捨てる
大きな家具や寝具などは、行政の粗大ごみ回収を利用しましょう。大型家具などが減れば、搬出するトラックの荷台スペースが空き他のゴミを積むことができます。また搬出のためのスタッフの削減にもつながります。
問題は、ご依頼者様の肉体的問題で、粗大ゴミ集積所まで対処物を運べないケースです。しかし、自治体によっては、条件はありますが(高齢者の一人暮らし・要介護認定を受けているなど)家まで行政のゴミ収集員が回収に来てくれるサービスがあります

横浜市の場合  横浜市のゴミ出し支援

東京の場合は区単位
新宿区  ごみの戸別訪問収集・粗大ごみの運び出し収集
大田区  運び出し収集

その他各自治体のゴミ収集に関する事項を確認してください(粗大ごみ料金の減額・免除制度などもあります

また、粗大ごみは対象外ですが、通常のゴミ出しについては訪問して集積所まで運んでくれるサービスもあるようです。
例:東京都北区 訪問収集・ふれあい訪問収集
一人暮らしの親が心配な時は、安否確認サービスも兼ねているので利用してみるもの良いかと思います

2⃣注意すべきこと
家電リサイクル4品目(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機)は粗大ごみでも捨てられません
どんなに小さなテレビや冷蔵庫でも、家電リサイクル4品目は、家庭ごみはもちろん、粗大ごみとしても捨てることはできません。我々も、専門の処分場に搬送します。
処分料金は、どんな大きさでもおおむね1製品につき¥8,000~¥10,000かかります。厳密には、メーカー・製品番号などによって多少異なりますが処分代と運搬費から料金が成り立っています。近所の電気屋さんでも請け負ってくれますので、お得意様であれば「運搬費」分を割引してくれる可能性はあります。
また、パソコンも個人情報が含まれている可能性から、家庭ごみ・粗大ごみで捨てられない自治体がありますのでご注意ください

②お客様の側で、ゴミをまとめたり紐で束ねたりしても料金は安くならない
よくお客様が、衣類を袋詰めしたり、書籍を紐で束ねたりして頂いていることがありますが、これは料金低減にはつながりません。なぜなら、私たち業者はそれらをばらして中身を確認するからです。衣類であっても、ダウン・革製品・ナイロン製のジャンパー・綿製品は、資源ごみとして処分できません。書籍や紙類も、革やビニールの表紙が付いていれば剥がして分別しなくてはなりません。写真も紙として扱われません。処分代が無料となる資源ごみとしての衣類はあくまでも布だけであり、書籍も紙の部分だけです。逆に、毛布やタオルケット・カーテンは、ビニールや綿を含まなければ「布」として家庭ごみでも資源ごみとして処分できます。

③買取業者を利用しよう
買取業も様々で、買取り料金にバラツキがあるのも事実です。しかし、たとえ値段がつかなくてタダで引き取ると言われても、大きな家具や家電リサイクル品目であれば、持って行ってもらう方がお得です。搬出の手間やリサイクル料金が節約できるので得をしたと考えましょう。

買取値段が付くのは、概ね以下のような条件が必要です。(状態が良い・キレイであることは大前提)
冷蔵庫・・・製造から8年以内(5ドアの場合、3ドア以下は3年以内)
洗濯機・・・製造から5年以内
テレビ・・・製造から5年以内(リモコンがあること)
エアコン・・・製造から5年以内(リモコンがあること)
空気清浄機・・・花粉の季節前の1~4月なら値が付く可能性がある
ダイソンの掃除機・・・3世代くらい古いものまで
ブランド品・・・バック、腕時計、食器などで状態が良いもの
その他、状態がよければアンティーク家具、ビンテージのジーパン、ゲーム機器、フィギアなどは値が付きます。

家電に関しては、日本製であること。(但し、SanyoとSHARPは日本メーカとはみなされません)ハイアールなどの中国製、LGなどの韓国製は対象外です。洗濯機とエアコンに関しては、古くてもスクラップとしての価値(洗濯機はモーター、エアコンは非鉄に価値がある)があるので、良心的な業者は¥500~¥2,000で買い取ってくれます。

書籍・漫画などは、たくさんあるようなら有名なBOOKOFFさんに買取りに来てもらいましょう。値段がつかなくても搬出の手間が減った分得したと考えましょう。

骨董品・美術品に関しては査定が難しいので、専門の業者に依頼されることをお勧めします。

☆注意☆
テレビCMなどでよく見かける「着物買取」業者は、注意が必要です。彼らの本当の目的は、最近値上がりしている「金」「プラチナ」の買取りです。高齢者を対象にタンスに眠っている貴金属を安く買いたたくことを目的にしており、着物自体はほとんど買い取る気がありません。
参考記事: Yahoo!ニュースより『恐ろしい…「タンスに眠っている着物を買い取ります。」の実態』

実際に、着物に関しては20着まとめて¥1,000というのが現状です。着物は、よっぽど高価な生地、ブランドもので保存状態の良いもでなければ高値は付きません。長い間着ることなく箪笥にしまってある着物は、シミやカビが発生している可能性が高く値が付きません。


まとめ
お客様側としては、とにかく搬出・処分するゴミの量を減らすことです。先に述べた「紐で束ねる」「袋に詰める」といった行為は、経験の浅い業者だと見た目の処分量を少なく感じて誤って安く見積もる場合もありますので、あながち無駄とは言いません。しかし、実績のある業者なら、しっかり押入の中や段ボールに梱包された中身まで確認します。それは、後々貴重品などを重点的に探す場所になるか否かの見極めと、普通に捨てられない物(例:糖尿治療用の注射針や灯油などの可燃物)がないかを見ています。それゆえに、作業後に「○○があるので塚料金です」などと言うことは絶対にありません。ちょっと話がそれましたが・・・。
そのためには、行政のサービスを最大限利用してください

また、、リサイクル料金がかかる家電4品目はできるだけ買取り業者に引き取ってもらいましょう。古くてもまだ使えるようなら友人・知人にあげるとか、近く購入を考えているなら、テレビショッピングなどの値引き用の下取り品として利用するのも一つの方法です。