業者を賢く利用しましょう

「遺品整理」とか「ゴミ屋敷清掃」とかいくつかの作業がありますが、引き受ける業者も、「廃品回収業を生業にするもの」から「便利屋さん」そして特殊技術を持った「プロの業者」と様々存在します。

そこで、この業界での作業の種類と専門とする業者についてご説明いたします。その上で、ご自身の状況からどの業者を利用すべきかをお決めになられるとよいかと思います。

1⃣作業の種類

①遺品整理(生前整理)
一般的に亡くなった方の家を片付けることを思われがちですが、厳密には、大事なもの・取っておくべきものを仕分け、捜索する作業を指します。具体的には、印鑑通帳現金貴金属社会保障関連書類不動産関連書類、そして形見などを見つけ出す作業です。続いて、ご家族の方が再利用可能な家電・家具などを仕分ける作業を行うことです。最後に、不要なもの・ゴミを撤去・処分する作業は付随的に行われます。

ご家族が離れて暮らしていたために、故人がどのような生活をし、何処に何をしまっていたかが分からない時に、あるいは、ご家族が時間的・肉体的に整理、片付けが難しい時にご依頼されるとよいでしょう。
同様に、生前整理もご自身や家族の時間的・肉体的制約があったり、ご自身で要・不要の判断ができない時にご利用してみてください。

いわゆる、ご自身で肉体的に整理・片付けるができ、要・不要の判断ができる場合は、生前整理の狭義語としての「断捨離」に該当します。

②不用品回収・廃品回収
その名のとおり、不要となった物の回収作業です。従って、すでに要るもの・要らないものの判断は終わっています。引っ越しなどで次の住居に収まらない・似つかわしくないなどの理由で処分するのは、不用品回収になります。壊れて使えなくなった家電・家具を処分する場合は、廃品回収になります。

③残置物撤去
不動産業界や家屋解体業者で使われる用語です。売却や家屋の解体をするには、家の中を空にしなくてはなりません。また、賃貸物件からの退去の際に先住者が部屋に残していったものがある時は撤去・処分が必要になります。これらの場合の部屋に残された家財を撤去・処分をする作業を指します。
既に所有権放棄されている物の処分であるため、売却することも処分することも可能です。従って個人情報に関する残置物がある場合は、前所有権者にとって注意が必要です。

④ゴミ屋敷清掃
どの程度ゴミがあればゴミ屋敷と呼ぶかについては明確に決められませんが、概ね、その部屋で生活できない、居住スペースがない程ゴミに埋もれた部屋の場合を指します。
一般的に近隣からの苦情や寮などで管理者からの指摘により、渋々依頼されるケースが多いです。
ゴミの撤去・処分だけでなく、貴重品などの捜索、害虫駆除、消臭・除菌作業を伴う場合があります。

⑤空家整理
長期間誰も家に住まずに放置された空家の中を整理、ゴミの撤去を行う作業です。電気・水道・ガスが使えない状態で放置されている場合がほとんどです。従って、その後その家に住むことをお考えの場合には、電気・水道の開通手続きの上で、清掃、消臭、除菌作業が必要になります。家屋の痛みがひどい場合には、建築士の診断を受けるなどして、必要な修繕・リフォームを行う必要が出てきます。(古い建築基準で建てられた家の場合、最新の耐震基準や防火対策が基準を満たしていないため、固定資産税が高くなるなどの不利益を受けます)


2⃣利用すべき業者について

次に、上記の必要とされる業者として、どのような業者を選ぶべきかについて考察していきます。最適な技術・資格を持った業者に依頼すべきで、単純に料金だけで選ぶと後々追加作業発生で料金が結果的に高くなることもあるので注意が必要です。

①遺品整理(生前整理)の場合に依頼すべき業者
原則として、一般産業廃棄物収集運搬の許可を所持している業者を選ばなくてはなりません。しかし、一般産業廃棄物収集運搬の許可を所持している業者はほとんど存在しません。なぜなら、一般産業廃棄物収集運搬の許可の新規取得はできないからです。そこで、一般産業廃棄物収集運搬の許可を持っている業者と委託契約や提携している業者を選ぶことになります。弊社も3社と提携しています

また、貴重品の捜索や要不要の仕分けの判断に関しての知識・経験を有している業者に依頼するのが無難です。そのための目安となるのが「遺品整理士」の資格を持っているか否かです。さらに、対象となる家屋の相続や売却までを考えている方の場合は、そういった業務経験を積んでいる、又は税理士事務所や不動産業者と提携しているなどの業者を選択すべきです(当該企業のホームページ内から調べてみましょう)将来的なことまで考えて、ベストな提案をしてくれるはずです。

さらに、「古物商」の許可を所持している業者であれば、家電・家具・ブランド品などの買取りも行ってくれるので、値引きにつながります。

最後に、処分する量によります。一戸建てなどの大きな物件の場合、一度に多くの遺品について要不要の判断のできるスタッフ人数がそろっているか、一度に多くの不用品を搬送できるだけのトラックなどの車両を持っているかが選択のポイントです。軽トラック1台しか所有していない「小さな便利屋さん」などに依頼すると作業日数がかかり、結果人件費がかかって割高になることが想定されます。

②不用品回収・廃品回収の場合に依頼すべき業者
こちらは、逆に搬出する量が少量なら、町の「便利屋さん」などを利用する方がお得です。もはや要不要の選別が必要なく、お客様により不用品が紐で束ねられていたり、ビニール袋に詰められたりしていれば、搬出作業が楽なので便利屋さんや廃品回収業者を利用したほうが割安ですみます。

③残置物撤去の場合に依頼すべき業者
こちらは、不動産業者や大家様、あるいは家屋解体業者が依頼するのが一般的です。家を売るときに不動産業者から家を空にしてくれと指示される場合もあります。不動産屋が残置物撤去業者を紹介してくれることもあります。家屋解体業者は、自身で作業を行えますが、中には一部の産廃しか作業を行えない業者もあります(建築関連企業やその子会社の場合、建築廃材にのみしか扱えない場合がある)。その場合には、ゴミや家電(特に家電リサイクル4品目)の撤去・処分に関しては、別途、産業廃棄物収集運搬の許可を所持している業者に依頼する必要があります。

*不動産屋さんが残置物撤去業者を手配してくれる場合の注意
不動産屋さんが 「ご自分で家の中を整理できないようであれば、弊社が業者を紹介しましょうか」と言って、残置物撤去業者を手配してくれることがありますが、この場合は注意が必要です。なぜなら、不動産業者は、紹介した残置物撤去業者からリベートをもらう仕組みになっているからです。よって、残置物撤去料金は割高になります。できたら、ご自分で何社か見積もりを取ってみることをお勧めします

④ゴミ屋敷清掃の場合に依頼すべき業者
一番の問題は、ご依頼者の世間体だと思われます。近隣から、そこの住民がどんな人物なのか知られたくないとうことでしょう。深夜の作業を希望されるお客様もいらっしゃいますが、夜の方が近隣住民の在宅率が高いので余計に目立ちます。また、女性の依頼の場合は、汚れた下着や汚物などの処分を業者の男性スタッフに見られたくないとう思いもあるでしょう。そこで、女性スタッフがいる業者を選ぶのも一考だと思います。また、片付けだけでなく、その後の部屋の状況によっては清掃や害虫駆除、消臭のスキルや機材を所持している業者を選ぶべきです。

⑤空家整理の場合に依頼すべき業者
この場合は、その後の不動産をどうするかによります。

ⅰ.その後ご家族が住む、あるいは貸し出す場合
まず優先事項として確実に大切なものや貴重品などを探し出す必要があります。また、搬出の際に壁などに傷がつかないように、しっかり養生作業をしてくれる業者を選びましょう。
さらに、リフォーム(クロスの張替え・フローリングの修繕など)や家屋の修理(外壁塗装・屋根の修繕など)が必要な場合は、そのようなスキルを持った業者あるいは提携先を持っている業者に依頼しましょう。そのほうが大まかな料金的やどの程度修理が必要かなどについてアドバイスしてもらえるはずです。それを参考に、個人的にリフォーム業者や大工さんを手配してもいいでしょう。
最低限の清掃業務も必要となるかと思いますが、電気・水道が使えない状態であることが多いので、その場合は、お客様側で電力会社や水道局に連絡して一時的に使用できるようにしてもらう手配が必要です。でないと、拭き掃除や掃除機掛け、あるいは消臭機械の使用ができません。(さすがに、発電機を所有している業者はないと思います)

ⅱ.売却や解体をお考えの場合
この場合は、次の3⃣業者を依頼する前に留意すべきこと⑤を参考にしてください。


3⃣業者を依頼するまえに留意すべきこと

その前に、より料金を安くするためにやっていただきたいこと、考えていただきたいことがあります。

①できるだけ自分でゴミの量を減らす(家庭ごみとして捨てる)

②粗大ごみとしてすてる

③買取業者の利用

これら3項目ついては、前回のブログ『遺品整理を安くするコツ』で説明いたしましたので、参考にしてください。

今回重点的に説明したいのは、以下の2項目です

④家屋の売却を考えている場合
家を売る場合は、不動産屋さんからも指摘されますが最終的には家の中を空にしなくてはいけません。しかし、まだまだ使える奇麗な家財があり、ある程度部屋の中が整頓されている状態なら、そのままの状態で購入希望者に内覧してもらいましょう。その時に、内覧者に対して、それとなく「この奇麗なダイニングテーブル、よかったらお使いになりませんか?」「この冷蔵庫まだ新しいので、よかったら残しておきますよ」などと話してみましょう。あるいは、具体的な値段の交渉になった時に、「この中でご入用な家具・家電はおつけします」と提案してみてください。場合によっては、そのままもらってくれる場合もあります。特に若い夫婦の購入希望者には有効です。

これは生前整理の場合には特に有効ですが、その家で亡くなった場合(つまりは、事故物件)は、絶対に不可能です。亡くなった方の物は、忌み嫌われるためです。病院など他の場所で亡くなった場合は、「引っ越すことになった」「施設に入ることになった」などと不動産屋さんと口裏を合わせれば成功することもあります。

②家屋の解体を考えている場合
この場合も、売却と同様に家の中を空にすべく残置物撤去作業をしなくてはなりません。しかし、解体業者の中には自社で処分場を運営している業者もあり、その場合は家の中のゴミもすべて処分してくれます。そうでなくても、基本的に建材と一緒に処分できる家具などの木製品は残しておいても大丈夫なことが多いです(食器棚についているガラスや椅子についているクッション部分は取り外す必要がありますが・・・)また、金属類(スチール製家具や鍋類など)も処分してくれる場合があります。なぜならスクラップとして売却できるからです。

家屋の解体をお考えの場合は、家の中を全撤去するために「遺品整理業者」の見積もりを取るだけでなく、あわせて解体業者の見積もりを取ってみることをお勧めします。なにより解体業者の「残置物撤去作業」の料金は、「遺品整理業者」の料金より格段に安いです。その理由は、外国人作業員を使うので人件費が安いからです。デメリットは、残置物に対し大事なもの・貴重なものか否かの判断はしませんし、貴重品や現金が見つかっても返してくれません。従って、「何処に何があるかわからない」「重要書類・貴重品を探す必要がある」場合には、後々後悔しないために、まず事前にお客様ご自身で探すか、「遺品整理業者」を利用して仕分け・整理を行ってから、「解体業者」に依頼されるほうが安全です。


ま    と    め

家屋・お部屋の状況を見極めて、最適な業者を選択し、2,3社の見積もりを取って検討してください。そして、作業日数・時間・作業員数などを聞いて料金の根拠となる理由を確認してください。いくら料金が安くても一括で○○万円というような業者は避けた方が無難です。後で追加料金が発生する可能性が高いです。

遺品整理や残置物撤去などの実績のある会社であることはもちろん、社会保障・保険・リフォーム・相続・不動産売却などにも精通している業者であると将来的問題も含めて色々とアドバイスをしてもらえます

私たちオービットは、様々な業者と提携をし、見積もりや商談に同行したり、実際の作業を見学したりして関連する異業種の知識の習得にも努めてまいりました。そして、お互いに仕事を融通しあうこと(例えば、不動産業者から弊社に残置物撤去の仕事、弊社から不動産業者に遺品整理後の不動産取引など)によって、リベートや紹介手数料のやり取りはしないシステムになっています。
これからも、私たちはお客様により低価格・確実・安心してワンストップサービスを提供できるように精進していきます