自宅で身内が亡くなったら・・・

孤独死・孤立死というと高齢の方と思いがちですが、コロナの影響もあり昨年までの2年間は、30代~50代の方の死亡による遺品整理や特殊清掃の依頼が多かったです。
ご依頼された家族の方も、かなり戸惑っていたようでしたので、ご自宅で身内の方が亡くなった場合の対応についてお話しします。

1⃣遺体が発見されたとき

⑴ご遺体をご家族が発見した場合
親と離れて暮らしているご家族の方が、急に連絡が取れなくなった、電気ポットやエアコンなどに組込まれた見守り機器などを通じて異変を感知した時に、実家に行ってみると・・・という場合です。

先ずは、容態を確認するかとお思います。脈がある、呼吸をしているようなら当然救急車を呼んでください。生きているかわからない場合でも救急車を手配しても構いません。
明らかに既に死亡している(体が冷たくなって硬直している、一部腐乱が始まっているなど)時は、慌てずに警察に連絡してください。
ここで注意すべきことは、救急車を呼ぶにしても、警察に連絡する場合でも、倒れている方を移動させたり、周囲の物を触ったり、動かしてはいけません
救急隊がその場で死亡の確認をすれば、その後は警察の仕事になります。つまり、死因がなんであるのか、事件性があるかの捜査が始まります。(いわゆる“検死”が行われます)

⑵ご遺体が近隣住民の通報で発覚した場合
近隣の住民から「〇〇さん宅から異臭がする」とか「ハエが大量発生している」との通報から、警察がご実家を捜査してその居住者の死亡を確認した場合です。

⑴⑵いずれの場合も、警察の現場検証が終わるまで、現場となった住居には立ち入ることはできなくなります。そして、事件性を裏付けるような証拠品は押収され、ご遺体は、警察の霊安室に搬送されます

2⃣身元の特定・確認

優先して行われるのは、遺体の身元の確認です。1⃣⑴のように家族からの通報であっても、公的書類(住民票や戸籍謄本、その住居者の契約書や登記簿など)に基づいて身元確認が行われます。(証言だけではダメ)
厄介なのは、死後数日が経過し腐敗が進行してしまうと、家族の証言は通用しません。歯型やDNA鑑定を行う必要が出てきますので、身元確認で2~3か月かかる場合があります。親と離れて暮らすご家族の方は、診察券や健康診断書などが実家のどこにあるか自然から確認しておくことをお勧めします。

3⃣死因の特定・事件性の有無

少しでも事件性があればかなりしつこく調べられる場合もあります。家族による遺体発見の場合でも、保険金目当ての殺害も想定されることから、契約している保険や預金残高についても捜査されることがあります。
先述の身元確認と併せて死因の特定に長期間要する(2か月くらい)ので、この間に葬儀の手配や相続の準備や遺品整理の手配などを進めておくと良いでしょう。

4⃣遺体・押収品の返却

➀親族がご遺体を引き取る場合
事件性がないと判明されれば、押収された証拠品などともに遺体が返却されます。この時に、死亡推定日時や死因が記された「死体検案書」を一緒に渡されます。また、この際に検案料(~3万円)、解剖料(~15万円)、死体検案書発行料(~⒈万円)、遺体搬送料(10㌔以内で~1.5万円)を請求されることがあります。但し、犯罪によるものであれば検案料、解剖料は公費で賄われます。

➀親族がご遺体引取りを拒否・親族がいない場合
故人と疎遠であった、検案料等の経済的負担が大きいなどの理由で、親族であっても遺体の引取りを拒否することもできます。この場合は、自治体によって火葬され、無縁仏として埋葬されます。この際の費用は、故人の財産から充当され、不足分は自治体が負担します。
同様に、親族がいない場合も地元自治体の負担により火葬が行われ、遺骨は自治体によりしばらく保管されます。その間に遺族を探しますが、遺族が見つからなければ無縁墓地に納骨されます。

5⃣その後の処理

先に渡された「死体検案書」は、いわゆる病院で医師に診断され発行される「死亡診断書」に代わるものです。これをもって、死後の事務手続きである、役所に死亡届を提出したり火葬許可申請や年金受給停止の手続きをしたりします。
詳しくは、過去のブログ「死後事務手続きについて」を参照してください。

6⃣特殊清掃の必要性について

ご自宅で亡くなられた場合、よく「特殊清掃」をしなければならないといわれます。当然、その家に住み続ける、売却することをお考えの場合は「特殊清掃」が必要です。しかし、本当に必要なのはリフォームです。体液のしみ込んだ浸み込んだフローリングやクロスの臭いは、その個所を取り除かなければ完全に臭いは取れません。次亜塩素酸やオゾンによる消臭・殺菌は一時的なものです(1週間くらいしか持ちません)

また、「死因がウイルスによるものだから感染の危険がある」と言って、特殊清掃を強要する業者は要注意です。なぜなら、基本的に、コロナやインフルエンザなどのウイルスは宿主が死亡すれば2日と生存できず、感染の危険はありません
但し、細菌による感染症(特定感染症の一類から四類に該当)は別です。ペストや結核、赤痢などは長期にわたり感染の危険があります。しかしながら、これらの場合は保健所が感染源・接触者の追跡調査および現場の徹底消毒を行いますので、我々のような業者の出番はありません。

従って、自宅で亡くなったからと言って必ず「特殊清掃」をしなければならないということではありません。しかしながら弊社としては、「特殊清掃」を行います。それは、作業効率のためにある程度の消臭や、リフォームをする際に、職人さんが嫌がるので除菌・消臭を行います。「特殊清掃」の程度の問題で、作業前夜に消臭のためにオゾン発生器をかけたり、ウジが湧いている箇所に次亜塩素酸を散布したりします。費用もかかって5万円程です
もちろん、お客様が今後のそこでの生活のために徹底的な「特殊清掃」をご希望される場合は、高度な「特殊清掃」を行います。
お客様の必要に応じて、業者と相談しながら適度な特殊清掃作業を行うことが重要です。
「特殊清掃」を強要し費用として50万円、100万円も請求するような業者は悪徳業者と思ってください。


内閣府の「高齢者社会白書」によれば、65歳以上の人口に占める割合は、令和7年(2025年)には30%、令和12年(2030年)には31.2%、令和32年(2050年)には、37.7%になると推計しています。また、古いデータですが、65歳以上の一人暮らしの高齢者は、平成27年に は男性約192万人、女性約400万人で、今後の推計でも増加が見込まれています。

日本はまさに「超高齢化社会」に移行しようとしており、これから「孤独死」「孤立死」の問題が顕著になってくると思われます
高齢のご両親がいらっしゃる方は、健康状態に留意すると共に、万が一に備えておくことが大切です。弊社としても、ご遺族のかたに寄り添った「遺品整理作業」「特殊清掃作業」について研鑽を積んでいく所存です

コメントを残す