片付けられないのには、訳がある①
それでも片付けられないのには、訳がある
「部屋を奇麗にしなくてはいけない」「いつか片付けようと思っている」、だけど片付けられない、あるいは、捨てられない人の多くが、「いつか使うかも?」「いつか役に立つ時がくるかも」と考えて、とっておこうと考える人は多いと思います。いわゆる「溜め込み症候群」です。ここで今一度よく考えていただきたいのは、『何年後に必要になるのか』『その何年後には、もっと高機能で安いものが発売されている可能性はないの?』、そして失礼なことかもしれませんが、『その何年後にあなたは生きていますか?』ということです。(実際に、軽い認知症の父にこう言って言い聞かせています) これらの点をよく考えれば、あなたの溜め込みグセは改善されると思います。
それでも、まだ『溜め込みグセ』が治らない方は、発達障害のケースとして「注意欠陥多動性障害(ADHA)」と「アスペルガー症候群(ASD)」の場合と、精神疾患の「セルフネグレクト」の場合が考えられます。今回は発達障害のADHAとASDの2つのケースについてお話しします。
⑴【アスペルガー症候群】と【注意欠陥多動性障害】について
現在発達障害は、「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「自閉症スペクトラム」「学習障害(LD)」の3種類に分類されています。
「アスペルガー症候群(ASD)」は「自閉症スペクトラム」の中に含まれています。
文科省は、それぞれ次のように定義して言います。
注意欠陥/多動性障害(ADHD)の定義
(平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」参考資料より抜粋)
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。 また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。 |
アスペルガー症候群(ASD)の定義
アスペルガー症候群とは、知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものである。なお、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、広汎性発達障害に分類されるものである。 |
出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
それぞれの特徴として、注意欠如多動性障害(以下ADHD)は、「不注意」・「多動性」・「衝動性」の3つがあげら、アスペルガー症候群(以下ASD)の人は、①社会的に適切に振る舞うことの難しさ、② コミュニケーションを円滑にすることの難しさ、③ こだわりが強く柔軟に想像・思考することの難しさ、があげられるそうです。
しかしながら、このADHDとASDの区別は難しく、極度の知的障害がみられない場合はアスペルガー症候群と診断されますが、実際には両社が混在あるいは重なっていることが多いそうです。診断名にはあまりこだわらないほうがいいようです。
⑵「片付けられない」と「捨てられない」
ASDやADHDが必ずしも片付けが苦手という訳ではありません。実は、これを書いている私自身も片付けは苦手です。私なりに何がどこにあるかを把握しており、使用頻度によってそれぞれ手に取りやすい位置に配置しているつもりですが、人から見れば散らかっている部屋に思われているようです。
ASDの場合には、先に述べた特徴の③こだわりが強く柔軟に想像・思考することの難しさにより、時に「溜め込み障害」を引き起こす傾向があるようです。具体的には、「以前これがあったから役に立った」「これはいつか必要になるかも」といった過去や未来に対する脅迫的な執着が、「捨てられない」「次から次へとモノを買い込む」といった行動を引き起こし、気づくと「汚部屋・ゴミ屋敷」になっていることがあるのです。
それに対してADHDの場合は、モノをどのタイミングでどこに収めればいいのか、片付けの手順がわからない、想像が及ばない傾向にあり、「片付けられない」となるようです。先ほども述べましたが、ASDとADHDが重なっていることが多いためどちらの傾向が出ているのかがわからないことが多いようです。この点について、両眼視機能や視覚性ワーキングメモリといった見る力が、発達障害のさまざまな個性が形作られていく上で、意外なほど大きな役割を果たしていると説明されているものもあります。詳しくはサイト「いつも空が見えるから」を参照してみてください。
⑶部屋を片付けるクセを付けるために
そのサイトでも指摘されていますが、そんな場合の対策法としては、これらの発達障害の特徴を逆手に取る方法です。言葉や口頭で「部屋を奇麗にしろ」「片付けろ」と言われても、理解できずどうすればよいのかイメージが湧きません。しかし、視覚的な「理解・記憶・情報の処理」には長けています。そこで、片付けた後の奇麗な部屋の映像を撮っておく、あるいは、片付けていいる手順を動画に残しておきます。それを参考にして、部屋が汚れてきたらそれを参考にして自ら片付けができるようになります。この方法は、特にASDの方に有効のようです。また、規則性・法則性を好む傾向にあり、自ら納得できるルールは遵守する傾向があります。例えば「床に5冊本がおかれたら、一度すべてを本棚に戻す」「上着は、常にハンガーにかける」といった独自のルールを作り、目の付くところに掲示しておくことで、より確実にルールを履行できます。
⑷私たちオービットにできること
私たちオービットは、ADHDやASDについての診断や治療は行えません。(詳しい診断や対処法については、弊社のブログ「アスペルガー症候群 診断と克服法」を参照してください。)
しかし、サービスとして「汚部屋・ゴミ屋敷」を片付け・清掃するのはもちろんのこと、再び「汚部屋・ゴミ屋敷」ならないように手助けすることも念頭に置いています。この片付け作業の模様を動画に残し、きれいなお部屋の映像を撮ってお渡しすることもできます。お困りの方は、是非当社オービットにご相談ください。
アスペルガー症候群は、知的障害を伴わない(IQが正常域内)ので、自己の努力で十分社会性を身に着けることができます。
⑸参考
お子様がADHDやASDではないかと不安な方は、専門機関で相談を受けられることをお勧めします。
詳しくはこちらをご参照ください。「LITALICO発達ナビ」
相談先となる専門機関には、以下のものがあります。
【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所
・発達障害者支援センター
【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所
知能検査や発達検査は児童相談所などで無料で受けられる場合もありますし、障害について相談することも可能です。その他、発達障害者支援センターで障害についての相談ができます。自宅の近くに相談機関が場合には、電話での相談にものってくれることもあります。以下は小児神経学会が発表している、発達障害診療医師の名簿です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。まず身近な相談機関に行って、診断の疑いがあればそこから専門医を紹介してもらいましょう。
=LITALICO発達ナビ
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