『産業廃棄物収集運搬許可申請』自分でやってみた

弊社は、東京都と神奈川県の「産業廃棄物収集運搬」の許可を取得し、閉店店舗の撤去・原状回復作業や建築現場の廃材の回収・処分を行っています。この「産業廃棄物収集運搬」(以下、産廃収集と略す)の許可申請は5年ごとに更新手続きをしなければなりません。

更新時期が来たので、以前依頼した知人である行政書士に依頼したのですが、5か月経過しても一向に新しい「許可証」が届きません。行政書士にも連絡がつきません。(後日、その行政書士は脳梗塞のため入院しており、その後お亡くなりになりました) 所轄の役所に確認したところ、神奈川県は提出書類に不備がありその修正待ちで止まっており、東京都は書類すら提出されていないことが判明。そこで、自分で産廃許可申請をやってみました。神奈川は更新申請、東京都は失効のため新規申請となります。

結構な額の報酬を支払ったので難しいものかと思っていたら、何のことはない、すごく簡単でした。提出書類の数は多いですが、基本的に自社に関する情報ですので、ほとんど自分で記入可能でした。そこで、いくつか難しいと思われる書類や注意点について、的を絞ってお話しします。東京都と神奈川県の産廃申請ですが、提出書類の様式は全国同一なので、その他の道府県への産廃申請書類の記載方法も同じですので、是非参考にしてみてください。

1⃣提出書類について

【A】申請書類(様式第六号による指定様式)
自社情報記入項目
    対象地区
➀産業廃棄物収集運搬業許可申請書第1面(別表)・第2面・第3面
➁事業計画の概要(第1面~第5面) ★第2面~3面
③運搬車両の写真(第6面)

④運搬容器等の写真(第7面)

⑤事業開始資金及び調達方法(第8面)
⑥資産に関する調書(個人用)(第9面)
⑦誓約書・政令使用人に関する証明書(第10面

【B】申請者に関する書類(様式第六号によるもの)
➀最新の定款の写し

➁法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)

③住民票(申請者・役員等・株主又は出資者・政令使用人・法定代理人)

④成年被後見人に該当しない旨の登記事項証明書

東京都のみ
⑤申請者の許可証の写し

【C】財務・経理に関する書類
➀貸借対照表(直近3年分)
➁損益計算書(直近3年分)
③株主資本等変動書(直近3年分)
④個別注記表(直近3年分)
⑤法人税納税証明書あるいは所得証明書(直近3年分)
【D】運搬施設等に関する書類
➀車庫の案内図(船舶の場合は停泊場所)
神奈川県のみ
➁駐車場等に係る土地の登記事項証明書(自己所有)又は賃貸借契約書の写し
神奈川県のみ
③事務所の案内図
神奈川県のみ
④自動車検査証の写し(船舶の場合は国籍証書及び船舶検査証書)

【E】講習会修了の写し

こんなに多くの提出すべき書類があります。すべて、『新規・更新・変更』に対応しています。ちなみに、役員の変更や車両の変更・追加などは、『変更』に丸印を付けて該当する書類のみの提出で受理してもらえます。(この場合料金もかかりません)

さて、よく書類の記載事項を確認すると、★印が付いている書類は、会社の屋号、役員や株主の名称、本店支店の住所のなど、自社にかかわる情報を記載する項目であったり、登記簿や住民票は法務局や市役所で簡単に取得できます。依頼するまでもなく自分で記載、または用意することができます。本店所在地の地図などは、Googleマップのコピペでも大丈夫です。申請書類は、Word形式でダウンロードできますので、わかっていることは自分で記載していけばOKです。(登記簿や定款の内容と矛盾のないように!)

「⑤申請者の許可証の写し」については、既に他府県で産廃収集の許可を受けている場合は、その『許可証」を添えて提出します。また、これがあると、別の都道府県で産廃収集許可申請の際に「誓約書」や「住民票」などの提出を省略できます(先行許可制度

法人と個人事業主でも書類が異なります。【C】財務・経理に関する書類が典型例ですが、開業したばかりで1年間の実績がない場合は、提出する必要はありせん。

また、東京都のみ必要とか、神奈川県のみ必要など申請する管轄により必要となる書類が違いますので、事前に管轄の役所のホームページで確認しておきましょう。

これらの書類の中で、ちょっと記載内容が難しそうなのは、【A】申請書類のうちの➀産業廃棄物収集運搬業許可申請書第1面、➁事業計画の概要(第1面~第5面)、⑤事業開始資金及び調達方法(第8面)です。

そこで、申請手順も踏まえてこの3つの書類の書き方について説明していきます。

2⃣講習の修了

新規申請であれ、更新申請であれ、講習を受けなくてはなりません。講習受講は士業の方への代行依頼はできませんので、取締役、使用人など当該事業者本人が受講しなくてはなりません。今はウェブサイトでの受講が可能となり、スケジューリングが楽になりました。しかし、新規の場合は、受講後に会場に行って簡単な試験を受けなくてはなりません。この日程確保に時間を要しますが、5問程度の簡単な試験で、講習の中で試験問題を教えてくれますので絶対に受かりますのでご安心ください。

この『受講修了証』を先の提出書類に添えて(正本・副本の2部作製)、申請する管轄県庁等に提出します。この提出には予約が必要で、だいたい1か月半から2か月かかるのが一番面倒なところです。 ですので、この間に提出書類を作成していきます。

3⃣⃣『産業廃棄物収集運搬業許可申請書第1面』について

申請書類の核心的書類です。どんな産業廃棄物を取り扱うかを決めるものです。将来的なことも考えて、何でもかんでも選択すると、後のA④運搬容器等の写真(第7面)の書類記載が面倒になります。汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・動物のふん尿・動物の死体・石綿含有物などを選択すると、飛散・漏れ、悪臭防止のための専用運搬用容器なり、専用運搬車両が必要になります。専用車両があるのならばその写真を第6面に記載し、専用運搬容器の場合は第7面に記載するのですが、ネットなどから流用した容器そのものの写真では不可で、その容器と申請する運搬車両(第6面に記載したもの)と一緒に写っている写真(車両ナンバーや車両に掲載する許可ナンバーがわかる様に)を記載する必要があります

専用運搬車両や専用運搬容器は高額なものもありますので、初期投資を抑える意味でも、扱う産業廃棄物種類は許可申請取得後に確実に事業になるものだけにしておく方が無難でしょう。

また、この運搬車両や運搬容器については、『産業廃棄物収集運搬業許可申請書の第2面』に事前に記載します。運搬車両であれば、脱着装置付きコンテナ専用車両(アームロール車)、タンク車、ダンプ車など。運搬容器であれば、フレコンバック、オープンドラム缶、ケミカルドラム缶など、それぞれにどんな産業廃棄物を運搬するかを、その容器の容量とともに書き込みます。

さらに、積替え保管を行うか否かを記載する項目があります。この『積替え保管』の許可はまず取得できないと思ってください。都内や神奈川県の都市部ではほぼ許可はおりません。昨今の環境問題とも相まって、その事業用地の近くに住宅地や教育機関・医療機関があると後々のトラブルを考慮して許可はおりません。『積替え保管』をお考えの方は、人里離れた山間部などの用地を用意する必要があります。ですので、弊社は『積替え保管』は行っていません。

4⃣『事業計画の概要(第1面~第5面)』について

➀第1面の「事業の概要」について
ここは、産業廃棄物収集運搬業務について一般的なことを記載すればOKです。
その下の「取り扱う産業廃棄物の種類及び運搬量等」については、下記に記入例を載せてありますので、参考にしてください。「運搬量」については、あくまで予想で構いません。分からない場合は、「未定」と記載しても問題ないです。

「予定運搬先の名称」については、神奈川県の場合、具体的な中間処分場・最終処分場の企業名と所在地の記載を求められます。(産廃を降ろす予定になっている処理場で構いません)

実際、産業廃棄物運搬収集業を始めると、処分場と契約を交わさないと産業廃棄物をその処分場に降ろすことができません。処分場ごとに扱っている産業廃棄物の種類やその料金がまちまちですので、捨てに行くまでの距離を考慮して、あらかじめ適切な処分場を決めておきましょう。正式に産廃収集運搬の許可証を入手したら、その証書を提示して処分場と契約を交わします。

事業計画の概要1面

➁第2面には、使用する運搬車両と運搬容器について記載します。
上部にどんな運搬車両を使用するか、下段に運搬容器ごとにそんな産業廃棄物を入れるかをそれぞれ記載します。容器については適した産業廃棄物を対応させて記載してください。

③第3面は「積替え保管」についての記載です。申請しませんのでここは省略します。

④第4面は、難しく考えずにそのまま「車両毎の用途」「業務を行う時間帯」「休業日及び従業員数」について、自社の状況や構想を記載すれば大丈夫です。
下記の記載例を参考にしてください。

事業計画の概要4面

⑤第5面は、環境保全のために何を行うかを記載します。

普通の環境保全措置を記載すれば大丈夫なのですが、「廃油」「廃酸」「廃アルカリ」「動物のふん尿」「動物の死体」など、環境汚染につながるような化学物質や悪臭の原因となるような産業廃棄物を扱う場合は、厳密な環境保全措置を求められますので、それなりの専用運搬容器を用意するなり、運搬時の運転手法など、しっかりした措置を記載しましょう。

事業計画の概要5面

5⃣事業開始資金及び調達方法(第8面)

この書類は、申請時がまだ開業間もない時期であったり、先行投資を考えたりしている場合などに、先々購入するならその予算と購入資金をどこから捻出するかについて記載します。あくまでも購入の場合ですので、賃貸や既に所有している場合は、「資金調達の必要なし」と記載すればOKです。
但し、「申請手数料」については、この申請を通じて絶対に必要な金額なので81,000円を記載します(書類は千円単位のため81と記載)
これも、記載例を用意しましたので下記を参考にしてください。

事業の開始に関する資金の総額及びその資金の調達方法8面

6⃣まとめ

すべての書類を記入し、必要書類を(住民票や財務諸表など)をそろえて、正本・副本の2部を用意して、管轄の役所の担当官に提出します(これは要予約制です)。正本を担当官に提出し、記入内容を確認しながら間違いや漏れを指摘してくれます。自分は、副本を見ながら、指摘されたミスや不足事項をメモしていきます。誤りについては修正し、不足書類は改めて用意して、郵送なりFAXで送れば受理されて、2か月後ぐらいに『許可証』が送られてきます。

副本は自社で保管して、次の更新時や他府県の新規申請所の参考に使ってください行政書士などに依頼すると、自分たちの飯の種なので、この『副本』は返してくれません。行政書士などへの依頼すると1件当たり安くて5万円、高いと8万円かかります。もともと申請手数料が81,000円掛かりますので、住民票や登記簿を取りに行く手間はありますが、自分でやった方がお得だと思います。

一昔前は、少しでも書類に不備があれば突っ返されたものですが、今は担当者が親切に教えてくれます。分からところは、先に担当者の聞くなりして確認しても構いません。時間的余裕があるなら、是非ご自分で『産業廃棄物収集運搬許可申請』をやってみてください

 

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